公民社会研第7回例会

中国公民社会研究会関係各位
 10月例会の概要が定まりましたので、下記、案内を流させて頂きます。
 報告2本です。ふるってご参加下さい。
 なお、末尾に宣伝ありです。

――――――――――記――――――――――――――――――――――
中国公民社会研究会10月例会
◎日時:2011年10月7日(金) 18:00開始
◎会場:(財)東洋文庫 新本館7階 会議室(詳細はメール末尾)
◎報告1
 報告者: 村井寛志神奈川大学
 報告題:「歴史的視野から見た中国の中央−地方関係」(研究動向整理)
 概要
   現代中国国家について、一報に中央集権的な強権的国家というイメージがあるが、地方政府が自己利益を追求し、中央政府の意向が貫徹していないことを強調する見方もある。
 これら2つの側面は中国近現代史を通底する問題であるが、歴史的研究を視野に入れつつ、現代中国の中央−地方関係についての研究動向から問題提起を行いたい。具体的には、磯部靖『現代中国の中央・地方関係--広東省における地方分権と省指導者』(慶應義塾大学出版会、2008年)、梶谷懐『現代中国の財政金融システム―グローバル化と中央-地方関係の経済学―』(名古屋大学出版会、2011年)などに言及する予定。

◎報告2
 報告者: 大澤肇東洋文庫
 報告題: 「現代中国におけるメディアの変化と社会
 概要:本発表では、現代中国で、最近10年間に起きたメディアの変化と社会(運動)について、いわゆるネット界隈の状況を中心に概観してみたい。
 なお、本発表では、理論的なインプリケーションの検討やモデル構築よりも、基本的な状況、代表的な事件や社会背景の整理・紹介に重点を置き、そのなかでの国家―社会関係の変化について見ていければよいと考えている。

◎会場詳細:
〒113-0021 東京都文京区本駒込2-28-21 (財)東洋文庫 新本館7階 会議室
電話: 03-3942-0146
地図は、http://www.tbcas.jp/ja/access.html

 なお、宣伝になりますが、中国公民社会研のメンバーを中心に、神奈川大学エクステンション講座「市民社会の視座から考える21世紀の東アジア―中国と台湾の事例から―」を開催します。
 一般向けの内容にはなりますが、専門外で御興味をお持ち頂けそうな方が周囲にいらっしゃいましたら、御紹介しておいて頂けるとありがたいです。
 詳細は下記サイトをご参照下さい。
 http://new.ku-portsquare.jp/site/course/detail/86/

                                    
    以上

市民社会の視座から考える21世紀の東アジア 中国と台湾の事例から

中国公民社会研究会のメンバーを中心に、神奈川大学生涯学習・エクステンション講座で下記の講座を開きます。値段が高くて申し訳ございませんが、充実したものになると思いますので、ご興味がおありの方は是非お申し込み頂ければと思います。

◎講座名
市民社会の視座から考える21世紀の東アジア 中国と台湾の事例から
→〈http://new.ku-portsquare.jp/site/course/detail/86/

◎講座概要
・講座番号 11B1610901
・期間 2011年10月28日 〜 2011年12月2日
・回数 5回
・曜日
・時間 19:00〜20:30
・定員 30名  ※先着順に受け付け、定員に達し次第締め切ります。
・受講料 8,000円
・申込期間 2011年9月1日 〜 2011年10月14日
 ※申込期間後も定員に余裕がある場合は、受け付けますのでお問い合わせください。
・キャンパス KUポートスクエア

※ 受講料には、テキスト代(一部の講座を除く)及び消費税が含まれます。
※ 開講日程や時間は、講師の緊急な都合などにより変更する場合があります。
※ 定員に満たない場合は、開講できないことがあります。

◎内容
 21世紀、インターネットなどのコミュニケーション手段の発達に後押しされて、政治家やマスメディアだけでなく、一般の市民が世界に向けて発信したり、行動したりすることが容易になりました。こういう視点から隣国を見てみると、中国では、厳しい情報統制や言論の抑圧にもかかわらず、市民の間に新しい動きが起こってきています。また、その中国と政治や文化において微妙な関係にある台湾は、1990年代までに経済発展と民主化を一応成功させ、現在は新たな課題に直面しつつあります。
本講座では、豊富なフィールドワークの経験を持つ研究者、ライターの視点から、中国・台湾の社会の最新の動向を紹介していきたいと考えています。


◎講座日程
第1回 2011/10/28 2000年代の中国・台湾―新しい社会変動
           【村井 寛志】
目ざましい経済発展の一方で格差や環境問題など様々な問題を抱える中国、産業空洞化や少子高齢化など、新しい課題に直面している台湾について、21世紀の新しい動向を紹介していきます。

第2回 2011/11/04 中国における通信メディアの発達と社会の変化
            【大澤 肇】
中国は4億人以上がインターネットを利用するインターネット大国です。スマートフォンの普及で、ますます大きな影響力を持つようになったインターネットが、中国社会に与えている影響について、皆さんと一緒に考えます。

第3回 2011/11/11 現代中国のNGOと人権問題
            【麻生晴一郎】
最近の中国をとらえる上で市民社会の台頭は見逃せません。弁護士、ボランティア、NGO、ニューメディアなど、新しい担い手が活躍し、同時に規制も多く、不安定な状態です。中国といかに付き合えばいいのか、具体的動きをもとに考えます。

第4回 2011/11/18 現代台湾のまちづくり運動と地方振興
            【星 純子】
台湾では、民主化や「台湾化」に伴って、まちづくり運動がさかんになっています。日本のまちづくりとの類似点や異なる点に注意しながら、台湾や日本の地域社会の中で、社会運動がどのような役割を果たせるのかを模索します。

第5回 2011/12/02 アニメと韓流から考える中国・台湾都市部のライフスタイルの共通化
            【本田 親史】
中国・台湾では都市部を中心に、アニメーションや韓流ドラマの流行などを通じ、徐々に共通のライフスタイルが登場しています。今回はその具体例と問題点にも触れながら、そうした動きが「国」を超えうるものなのかを考えます。


◎講師紹介
村井 寛志
神奈川大学国語学部准教授
1971年生まれ。東京大学大学院人文社会研究科博士課程単位取得満期退学、2005年から神奈川大学勤務。専門は中国近現代史、現代中国のメディアと大衆文化。主要著作に『中国と日本―未来と歴史の対話への招待―』(共著、御茶の水書房)、『中国の歴史を知るための60章』(共著、明石書店)など。

大澤 肇
人間文化研究機構地域研究推進センター研究員、(財)東洋文庫研究員
1977年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は中国近現代社会史であるが、現在、東洋学の専門図書館東洋文庫にて研究員として勤務しており、中国の電子図書館やITなどにも造詣が深い。主要著書に『新史料からみる中国現代史』(高田幸男との共編、東方書店)など。

麻生 晴一郎
ルポライター
1966年生まれ。湘南高校東京大学国文科卒業。在学中より中国の出稼ぎ労働者をはじめ、前衛アーティスト、自由言論人、市民活動家らと交流を続ける。著書に『北京芸術村 抵抗と自由の日々』(社会評論社)、『こころ熱く武骨でうざったい中国』(情報センター出版局)、『反日、暴動、バブル 新聞・テレビが報じない中国』(光文社新書)など。

星 純子
法政大学サステイナビリティ研究教育機構リサーチ・アドミニストレータ
1977年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。博士(学術)。日本のNPOを支援する米国法人の中間支援NPOでの勤務経験を持つ。研究関心領域は台湾、日本、韓国の地域社会のまちづくり。現在、世界約100ヵ国・地域をカバーする英文年表『世界環境年表(World Environmental Chronology)』の編集に従事。

本田 親史
明治大学商学部兼任講師
1966年生まれ。1990年東京外国語大学国語学科卒業後、報道機関などを経て現在、明治大学商学部政治経済学部・法政大学社会学部兼任講師、特定非営利法人アジア・アフリカ研究所研究員。最近の論文に「中国・台湾における公共圏形成と『日本のメディア化』」(『21世紀東アジア社会学』第3号、2010年6月)がある。

坪井祐司・村井寛志「マレーシア華人新村の形成過程と地方政治―スレンバン近郊の2 新村における現地調査から―」

共著ですが、ここ数年来マレーシアでやってるオーラル・ヒストリーの報告書(のようなもの)第一弾です。あまり深い分析はしていませんが、とりあえず調査事例の基礎情報をまとめていこうという趣旨でやってます。

坪井祐司・村井寛志「マレーシア華人新村の形成過程と地方政治―スレンバン近郊の2 新村における現地調査から―」(『人文学研究所報』45、神奈川大学人文学研究所、2011年)

「0. はじめに」より
 本稿は,2007〜2010年にかけて行われた著者(村井,坪井)と東條哲郎の3人が共同で行った,マレーシア・ヌグリスンビラン州,スランゴール州の計14の華人新村(以下「新村」)の形成過程に関する聞取り調査の成果の一部である。本稿では特に,ヌグリスンビラン州スレンバン市周辺地域における
華人新村の形成過程を取り上げる。
 「新村」とは,1949〜50年代のマラヤにおいて,地方部の華人住民の強制的な集住により形成された集落である。1948年のマラヤ共産党武装蜂起に際して,イギリスは「非常事態(Emergency)」を宣言して鎮圧に乗り出した。山間部でゲリラ活動を続けるマラヤ共産党には華人が多かったため,イギリス当局はこれに対する食糧・物資の供給源を絶つべく,地方部における華人を強制的に集住させて管理しようとした。この集住のために作られたのが新村で,1954年までにマラヤ全域に480の新村が形成され,約57万3千人が移住させられた。その後,マラヤ共産党の勢力減退,1957年のマラヤ連邦独立を経て,60年には正式に非常事態の解除が宣告されるが,多くの住民はその後も新村に住み続け,54年時点で480だった新村のうち,2002年の段階でも450が残存している[林・方20058]。つまり,新村は今日まで続くマレーシアの地方部における華人集落の一つの原型と言える。
(中略)
 一方で,個々の事例を比較検討して地域的特徴を明らかにする作業は十分に行われていない。個別地域の特性を明らかにするためには,歴史的展開が比較的似通った幾つかの新村をグルーピングし,それぞれの村落史を再構成する方法が有効と思われる。その第一歩として,本稿では,ヌグリスンビラン州スレンバン郡ラサ新村(Rasah,亜沙)およびシカマット新村(Sikamat,小甘密)の事例を取り上げる。ヌグリスンビラン州は半島部マレーシア西岸部に位置し,スレンバンはその州都である。ラサはスレンバン中心から南に5km,シカマットは北東に5km ほどの距離で,スレンバン市に近接している。
 この2村は,マラヤのなかでも最初期に形成された新村である。新村がマラヤ全域に展開されたのは1950年5月に立案されたブリッグス計画(Briggs Plan)によるが,この2村はそれに先立つ49年に設置されている2村とも母体となる集落を持たず,新村建設によって初めて村として成立した。つまりこの2村は,イギリス当局が明確な方針を定める前に成立しており,その成立過程には,新村建設をめぐる試行錯誤が表れている。
 つまりこの2つの新村は,大都市近郊の新村であること,ならびに最初期に形成された新村であることという二点において特徴を持つ。本稿ではこうした視点からこの2村の村落形成史を再構成する。
(以下略)

 本文リンク

第6回例会(7月30日)のご案内

 下記の通り例会を開催いたします。来聴歓迎です。
――――――――――――――――――――――――
中国公民社会研究会 第6回例会
◎日時: 7月30日(土)15:30開始
◎会場: 法政大学 市ヶ谷キャンパス 大学院棟501教室
   ※いつもと違う会場ですので、ご注意下さい。

◎報告(1)(読書会報告).
・報告者:星純子さん(法政大学サステイナビリティ研究教育機構)
 内容:台湾のコミュニティ建設をめぐる下記の研究についての書評報告

 楊弘任(2007)『社区如何動起来? −黒珍珠之郷的派系、在地師傅與社区総体営造−』
(Making community work : a case study of Lin-Bien)新店:左岸出版社。
 楊弘任(2010)「専家系統下的地方知識:嘉邑行善団的造橋実作」
  (Local Knowledge in the Context of Expert System of Knowledge: Chia-yi Charity Organization's Brdge-Building Practice)『科技、医療與社会』10:129-190.

 後者について、事前に目を通したい方は御連絡下さい。
 報告者にはテキストを読んでなくてもある程度理解できるようご配慮お願いしてありますので、中国語ができない方でも御参加頂けるかと思います。

◎報告(2)(研究報告).
・報告者:本田親史さん (明治大学兼任講師)
 タイトル=東アジアにおける時空間再編の総括と展望
       ―国民国家(論)は今後も語りの指標たりうるか?

 概要=20世紀後半以降の東アジアにおける時空間関係の再編は、グローバル都
市が少しずつ時間的ズレをはらみつつ、ナショナルな枠を超えた空間的一体性を
共有しつつある状況とともに、非発展地域の断片化を共に生み出すという方向性
に帰結しつつあるように思われる。今回は、従来まであまり注目されてこなかっ
たこの影の部分にも実証的・理論的に光を当て、同時にこの不均等な時空間再編
過程が中国大陸をも巻き込んでいる現状にも言及しながら、これまで東アジアで
機能してきた国民国家ごとの議論が今後も従来同様有効に機能しうるのかどうか
問いかけたい。

6月例会 中国における「参加型」メディアの勃興とジャーナリズムの新展開+劉暁波をめぐる諸現象

中国公民社会研究会6月例会
 本来3月にやるはずだった例会を中止して以来活動を休止してましたが、久々に例会を開きたいと思います。報告二本立てです。一つは、3月に報告して頂く予定だった章蓉さんに博論構想についての御報告を、もう一つは、現代中国知識人研究の第一人者として知られる及川淳子さんに御報告を頂けることになりました。
 奮って御参加下さい。
 なお、会場は昨年まで使用していたところとは異なっていますので、ご注意下さい。

◎日時:2011年6月10日(金) 18:00開始
 ※当初6月10日(土)と書きましたが、金曜が正しいです。
◎会場:(財)東洋文庫 新本館7階 会議室(詳細はメール末尾)

◎報告1
 報告者: 章蓉東京大学大学院)
 報告題:「中国における「参加型」メディアの勃興とジャーナリズムの新展開――ネットメディアの事例を中心に――」(博論構想)

◎報告2
 報告者: 及川淳子(法政大学客員学術研究員)
 報告題: 「劉暁波をめぐる諸現象
 概要:
 ノーベル平和賞を受賞した劉暁波については、本人が獄中にいることや中国当
局の反発などが報じられる一方で、劉暁波自身の思想について広く知られるよ
うになったとは言い難い状況にある。この報告では、第一に、劉暁波の思想と行
動を象徴する3つのフレーズ「未来の自由な中国は民間にあり」「社会を変え
て政権を変える」「私には敵はいない」を中心に、劉暁波の思想を概観する。第
二に、日本における関連資料の出版状況を紹介し、劉暁波について論じること
が現代中国を研究するスタンスの再検討となっていることについて議論を試みたい。

◎会場詳細:
〒113-0021 東京都文教区本駒込2-28-21 (財)東洋文庫 新本館7階 会議室
電話:03-3942-0146
地図は、http://www.tbcas.jp/ja/access.html

3月例会中止のお知らせ

3月26日に予定しておりました中国公民社会研究会3月例会ですが、東北関東大震災による余震、原発事故、停電などの余波を考慮して、上記研究会は中止となりました。状況が落ち着き次第、再調整したいと思いますので、ご了承お願いします。

中国と日本―未来と歴史の対話への招待

中国と日本―未来と歴史の対話への招待 (神奈川大学入門テキストシリーズ)

中国と日本―未来と歴史の対話への招待 (神奈川大学入門テキストシリーズ)

目次
村井寛志「中国の「格差」を多面的に考える」
張翔「近代中国と横浜の開港−東アジアの文化交流」
大里浩秋「戦争終結直後の中国人は日本をどう見たか」
小林一美「歴史を学ぶ意味について」

→〈http://www.kanagawa-u.ac.jp/community/publication/textbook/